日韓レーダー問題、打開見えず=照射1カ月、徴用工訴訟絡む−防衛省

自衛隊機に対する韓国軍艦の火器管制レーダー照射問題が発生して20日で1カ月。日韓防衛当局の実務者が2度協議したが、照射の有無を含め双方の主張は対立したままだ。防衛省は新たな証拠を突き付ける構えだが、混迷する元徴用工訴訟などの問題も絡み、事態打開の糸口は見えない。
「今なお認識の一致を見ていないことは非常に残念だ」。防衛省によると、岩屋毅防衛相は訪問先のハワイで日本時間19日朝、記者団にこう語った。その上で「韓国側とどのように協議を進めていくべきか、よく考えたい」と強調した。日本政府には、対北朝鮮で米国を含む3カ国の連携は維持したいとの思いもある。
日本側は、昨年12月20日能登半島沖で、海上自衛隊のP1哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けたと主張。韓国側は同レーダーの使用を全面否定し、遭難した北朝鮮船舶の救助のための探索レーダーしか運用していないなどと反発した。
海自機の飛行状態でも双方の言い分は対立する。日本側は「十分な高度と距離を取っていた」と説明。これに対し韓国側は、海自機が「人道主義的救助作戦を妨害する脅威的な低空飛行を行った」と批判し、謝罪も要求している。
日本側は反証のため昨年末、海自機が現場で撮影した映像の公開に踏み切った。14日の2度目の実務者協議では、海自機が収集した電波情報と韓国側のデータの交換を求めたが、韓国側に拒まれて行き詰まっている。
業を煮やす防衛省は近く、レーダー照射を受けた際に哨戒機内で記録した電波信号の音を証拠として追加公開する方針。だが、複雑な国民感情から韓国側はむしろ反発を強める可能性がある。
防衛省自民党内には、日韓共通の同盟国である米国の仲裁を期待する声もある。ただ、米国は静観する構えで、防衛省幹部は「米国は仲裁しても得はないと判断している」と漏らす。
日韓間には韓国の元徴用工訴訟や慰安婦合意に基づく財団の一方的解散といった問題も横たわり、日本政府は事態収拾に頭を悩ます。23日にはスイスで外相会談が予定されるが、防衛省幹部は「前進は期待できない」と語る。
(2019/01/20 08:01 時事通信社)

新証拠の電波音公開へ=レーダー照射、日本の正当性主張−防衛省

韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題をめぐり、防衛省は新たな証拠として、レーダー照射を受けたときに哨戒機内で記録した電波信号の音を公開する方針を固めた。防衛省幹部が19日、明らかにした。週明けにも公開する方向で調整している。
韓国側はレーダー使用について、遭難した北朝鮮船舶を捜索するためだったとし、「日本は火器管制レーダーだったと誤認している」との立場を取ってきた。新証拠を出すことで、日本側の主張の正当性を広く国際社会にも示したい考えだ。
(2019/01/19 09:01 時事通信社)

日韓外相、スイスで会談へ 元徴用工問題などで協議か

河野太郎外相と韓国の康京和(カンギョンファ)外相が、22日からスイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の機会に会談する見通しになった。日韓関係筋が明らかにした。元徴用工らの日本企業に対する損害賠償訴訟や、海上自衛隊の哨戒機に対する火器管制レーダー照射問題で日韓関係が悪化してから初めての会談となり、これらの問題について意見を交換するとみられる。
対面の形での日韓外相会談は、昨年9月の国連総会を機に行われて以来。
日本政府は今回の外相会談で、元徴用工の訴訟をめぐって日韓請求権協定に基づいて要請した協議を韓国政府に改めて求めるとみられる。日本側は9日に協議を要請し、30日以内に回答するよう韓国側に伝えた。韓国政府は「綿密に検討する」としているが、外相会談では明確な回答を避ける可能性が高いとみられる。
レーダー照射問題をめぐっても双方の主張は食い違っており、日韓の関係改善は難しい情勢だ。(ソウル=牧野愛博)
(2019/01/17 21:12 朝日新聞デジタル)

女性宮家「慎重な手続き」=菅官房長官

菅義偉官房長官は17日の記者会見で、天皇陛下の退位特例法の付帯決議に盛り込まれた「女性宮家」創設を含む安定的な皇位継承について、「いろいろな考え方や意見があり、国民のコンセンサスを得るには十分な分析、検討、慎重な手続きが必要だ」と述べた。
一方、菅氏は「皇族方のご年齢からしても先延ばしできない重要な課題だ」とも語った。
(2019/01/17 18:01 時事通信社)

退位礼の概要が正式決定 天皇陛下が最後の おことば

天皇陛下が4月30日に退位する際に行う憲政史上初めてとなる儀式「退位礼正殿(せいでん)の儀」について、政府は17日午前、概要を決定した。三権の長や閣僚、地方代表ら約340人が参列。安倍晋三首相が国民代表の辞を述べたあと、陛下が最後の「おことば」を述べる。
首相官邸で開いた「式典委員会」の第3回会合で決めた。退位礼正殿の儀は、一連の皇位継承行事のうち国事行為として行うもので、天皇陛下の立場としては最後の行事。皇位のしるしとされる三種の神器のうち、剣と璽(じ)(まが玉)が会場の皇居・宮殿の松の間に置かれる。
皇太子さまの新天皇即位に伴う儀式「剣璽(けんじ)等承継の儀」は、翌5月1日に行う。皇位継承順位第1位の皇嗣(こうし)になる秋篠宮さまと、常陸宮さまの2人が神器などの継承を見守る。陪席は皇位継承権のある成人の男性皇族に限り、女性皇族は認めない前例を踏襲した。参列者は性別で区別せず、同日の時点で三権の長や閣僚、最高裁長官代行ら26人に女性がいれば、剣璽等承継の儀で初めての女性の参列となる。明治時代の旧皇室典範で男系男子による皇位継承が定められて以降、女性が参列した例はない。
(2019/01/17 11:44 朝日新聞デジタル)

値下げで30億円の赤字へ=受信料収入は過去最高−NHK予算

NHKは15日、2019年度予算を発表した。事業収入は前年度比1.1%増の7247億円で、このうち受信料収入は0.5%増の7032億円と予算段階で過去最高を見込んだ。一方、10月に予定されている消費税増税分を肩代わりし、受信料を実質的に値下げするため支出が膨らみ、純利益に相当する事業収支差金は30億円の赤字となる。赤字予算は10年度以来9年ぶり。
NHKの最高意思決定機関である経営委員会(委員長・石原進JR九州相談役)が15日、予算と事業計画を承認した。NHKは20年度も受信料の引き下げを予定しており、20年度の赤字額は215億円になる見通しだ。石原氏は記者会見で「増収努力と厳格な経費管理を進め、赤字を解消していく」と述べた。
(2019/01/15 21:00 時事通信社)

北方領土、隔たり浮き彫り=首脳会談、進展見通せず−日ロ

北方領土問題を含む日ロ平和条約交渉をめぐり、14日の外相会談では両国の立場の違いが浮き彫りになった。22日の首脳会談を前に政府内では、日本へのけん制を強めるロシアとの厳しい交渉を予想する声が上がった。自民党からはロシアの姿勢に反発が出ている。
「プーチン大統領と胸襟を開いてじっくりと話し合い、できるだけ交渉を進展させる」。安倍晋三首相は15日の政府・与党連絡会議で首脳会談に臨む決意を強調した。
ただ、14日の外相会談では、北方領土問題をめぐる溝が鮮明になった。主権について、日本側は「返還の際に戻るのが当然」との立場だが、ラブロフ外相は機先を制して「主権は議題にならない」と主張。ラブロフ氏は、日本側が「北方領土」の呼称を使っていることについても「受け入れられない」と反発した。日本側はプーチン氏が6月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ来日する際に、具体的な成果を得るシナリオを描いているが、外相会談を受け、政府高官は今後の交渉について「一筋縄ではいかない」と指摘。外相同行筋も「なかなか簡単ではない」と漏らす。首脳会談でも、首相が厳しいやりとりを迫られる可能性もある。
(2019/01/15 19:01 時事通信社)