「沈黙」続ける小泉氏=投票先公表も思案か−自民総裁選

自民党総裁選(7日告示、20日投開票)をめぐり、小泉進次郎筆頭副幹事長が「沈黙」を続けている。発信力が強い小泉氏の動向は党員票に影響する可能性があり、安倍晋三首相と石破茂元幹事長のどちらの候補者陣営も期待を込めて注視。小泉氏はぎりぎりまで情勢を見極め、投票先を明かす是非を含めて慎重に対応するとみられる。
「毎日、今どうすべきかを考えている」。小泉氏は8月31日、訪問先の長野県伊那市で総裁選について記者団から問われてこう述べるにとどめた。この後、質問を遮るように「電車(の時刻)があるので」と足早に立ち去った。
小泉氏は、直近で選挙戦となった2012年総裁選では事前に投票先を語らず、石破氏に投じたことを選挙後に公表した。今回もここまで「じっくり考える」などと述べるのみで、安倍、石破両氏の一騎打ちが固まった後もぎりぎりまで見極める姿勢を変えていない。
国会議員票で首相に大きく引き離されて いる石破氏は党員票が頼み。陣営は12年に続く小泉氏の支持を強く期待し、石破氏自身も8月29日の講演で、小泉氏について「自民党がどうあるべきか分かっている人だ。一生懸命お願いして賛同を得たい」と秋波を送った。
3選後の政権運営をにらんで圧勝を目指す首相の陣営も、小泉氏の支持は得たいところ。小泉氏は、参院定数を6増する改正公職選挙法に否定的な考えを示したり、森友、加計学園問題などの真相解明のための特別委員会新設を提案したり、安倍政権に厳しい注文も付けてきたが、官邸幹部は「優秀な人材」と高く評価している。
小泉氏は投票先を明示するかどうかについて、事後の対応を含めて言及を避けている。周辺は「政権に厳しいことを言ってきたのに首相支持ではぶれたように思われるし、石破氏支持の場合はそれを明かすメリットを見いだしにくい。選挙後も公表しないことがあるのではないか」と話している。
(2018/09/03 05:00 時事通信社)