アレン・ギンズバーグ(2)
,僕は見た,狂気によって破壊された僕の世代の最良の精神たちを,飢え,苛ら立ち,裸で夜明けの黒人街を腹立たしい一服の薬(ヤク)を求めて,のろのろと歩いてゆくのを
,夜の機械の,星々のダイナモとの,古代からの神聖な関係を憧れてしきりに求めている天使の頭をしたヒップスターたち
,ある者らは,金もなく,ぼろぼろのシャツを着て,うつろな眼でタバコをふかし,寝もせずに,湯も出ないアパートの超自然的な暗闇で,都会の上を漂いジャズを瞑想していた
,ある者らは,高架鉄道の下で,神に捧げる脳みそをあばいた,そして,貧民アパートの屋根の上でよろめいているモハメッド的な天使たちが照らし出されるのを見た
,ある者らは,戦時給費学生にまじって,アーカンソウとブレイク風の悲劇の幻想がちらついている晴れやかなつめたい目つきをして大学を卒業していった
,ある者らは,骸骨の窓に関するワイセツな詩に熱狂し,それを発表したために大学を追い出された
,ある者らは,髭もそらず下着姿で,紙くず籠の中のドルを燃やしながら,壁越しに聞こえて来る恐怖の声におびえていた
,ある者らは,ビート髭を生やし,禁制のマリュワナたばこにいかれ,ラレドを通ってニューヨークへ帰り逮捕された
,ある者らは,安ペンキのホテルで火を喰ったり,天国横丁でテレピン油を飲み,夜毎肉体に危害や苦行を強いていた
,夢,麻薬,わき起こる恐怖,アルコール,そして陰茎と,果てしない底抜け騒ぎなどによって
,はるかに,カナダやパタースンを憧れている心の中で,時間の不動の世界を照らし,雲と稲妻が震えている比類なき盲目の街路
,ホールに立ちこめているペヨーテの臭い,うら庭,緑の木,墓地,夜明け,屋根の上のワインの酔い,店の前でマリュワナ常習者(ヘッド)が人の車を乗りわしている街々,明減してるネオン,信号機,太陽,そして月,そしてブルックリンの荒れ狂っている冬の黄昏の木の震え,ごみ缶のわめき,そして精神のやさしい王者の光よ
「 吠える 」 アレン・ギンズバーグ詩
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