新元号4月1日公表、業界から安堵の声 「人繰り」不安も

安倍晋三首相が5月1日の新天皇即位に伴う新元号を4月1日に事前公表すると表明したことを受け、コンピューターのシステム改修を担う企業の担当者らは「発表時期が固まり、やっと計画を立てられる」と安堵(あんど)しつつも、年度替わりの繁忙期に重なるため、人繰りを心配した。
公表時期を巡っては、事前公表に難色を示す自民党内の保守派の意見を受け、即位に近い4月中旬以降も検討されていた。官庁や自治体のシステム管理に携わる大手システム会社の担当者は「政府の方針に従うしかないが、一日でも早く公表してほしいと思っていた」と胸をなで下ろす。「公表時期を新年早々明らかにしてもらったのも助かる」と喜ぶ。
ただ、人繰りや新元号を使った印刷の確認などで課題は多いと指摘する識者もいる。
総務省で通信規格課標準化推進官を務めた上原哲太郎・立命館大教授(情報セキュリティー)は「新元号に対応するソフトの修正などを考えると、1~2週間前の公表ではどうしようもなかった」と1カ月前の公表を評価する一方、「3~4月は通常でも新年度に合わせシステム改修する企業への対応で技術者が人手不足になる。そんな中でうまく人繰りできるのか」と首をかしげる
さらに、さまざまな書類で元号を用いる自治体では印刷のテストにかなりの時間がかかるといい、「テストをすれば作業漏れが見つかることも多い。10連休が過ぎても作業が間に合わない自治体も出てくるのではないか」と指摘する。【山口知、桐野耕一】
(2019/01/04 19:09 毎日新聞)