ゴーン容疑者逮捕、産業界に激震=統治不全、「他山の石」

カリスマ経営者と呼ばれた日産自動車会長カルロス・ゴーン容疑者の逮捕に、産業界は激震に見舞われた。長い間、君臨したトップへの権限集中が事件の温床となり、ガバナンス(企業統治)の機能不全を招いたことに批判が根強い。一方で経営危機に陥った日産を短期に再建した手腕を評価する声も聞かれるなど、功罪を冷静に見る向きもある。
日本商工会議所の三村明夫会頭(新日鉄住金名誉会長)は20日、東京都内で「ただ残念だ」と声を落とした。逮捕に一様に驚きの声が上がる中、前経団連会長の榊原定征東レ特別顧問は「経済界としては他山の石としてガバナンスを利かせた経営をすることが大事だ」と話した。
事件は、日本を代表するグローバル企業の一つ、日産でガバナンスが形骸化していた実態を浮き彫りにした。大手航空会社幹部は「後継者を育てなかったのが問題だ。トップにいるのが長過ぎた」と指摘。大手電機メーカー首脳は「(社外人材を交えた)指名・報酬委員会で客観的に検証できる体制が必要だ」と統治機構改革を訴えた。
ゴーン容疑者は2000年代、それまで不振にあえいだ日産の業績をV字回復させた立役者として知られる。「危機から脱したのはゴーン流改革の成果で評価に値する」(大手銀行幹部)との声もあった。
(2018/11/20 21:01 時事通信社)