首相、韓国大統領と立ち話 徴用工問題、双方に不信感か

安倍晋三首相は15日、訪問先のシンガポールで開かれた東アジア首脳会議の昼食会で韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と立ち話をした。両氏は韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工への賠償を命じる判決を出してから初めての接触だったが、日本側によると「あいさつ程度」。双方に不信感が根強く、激しいやり取りになるのを避けたとみられる。
日本側の説明によると、昼食会に先立って開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の首脳会議では握手を交わした。外務省幹部によると、判決は受け入れられないという日本政府の立場はすでに伝えており、改めて首脳同士で話し合う必要はないと判断したという。
18日にはパプアニューギニアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でも文氏と同席する予定だが、会談する予定はないという。
韓国大統領府関係者も、今回は安倍氏との会談を調整していなかったと明かした。安倍氏が「あり得ない判決」と激しく批判したことに大統領周辺でも「司法判断に政治が対応しろということか」と反発が広がっていた。
韓国外交省も15日、河野太郎外相が14日に判決を非難する発言をしたとして、「失望を禁じえない」などとする報道官声明を発表した。韓国政府は6、7両日にも、日本の政治家の発言に反発する声明などを出している。
(2018/11/15 19:48 朝日新聞デジタル)