医療保険、国内居住に限定案=政府・自民、来年法改正へ

政府・自民党は、公的医療保険制度が使える対象を制限する方向で検討に入った。外国人による不適切な利用の懸念が出ていることなどから、保険を使える扶養家族を日本国内に居住する人に絞る案が浮上している。年内にも成案を取りまとめ、2019年の通常国会に健康保険法改正案を提出する。
企業で働く会社員らは国籍を問わず、大企業の健康保険組合や中小企業向けの「協会けんぽ」に加入し保険料を払う。その配偶者や両親、祖父母、子ども、孫らについては、仮に日本に住んでいなくても条件を満たせば医療保険が適用される。
これまで自民党内からは、在留外国人による公的医療保険利用で、家族関係があいまいな海外在住者らにも保険が使われる可能性があるなどの指摘が出ており、ワーキンググループで制度見直し作業を進めている。
政府は外国人労働者受け入れ拡大に向けて、新たな在留資格の導入を盛り込んだ出入国管理法改正案を臨時国会に提出。在留外国人がさらに増加するとみられることから、自民党は年末までに議論の取りまとめを目指す。
焦点となるのは海外に住む被保険者の家族の扱いだ。社会保障制度は保険料を納めている限り、国籍による差別を受けないことが大原則。このため、厚生労働省では医療保険の適用対象を制限する場合、日本人を含めて「国内での居住者」を要件とするべきだとの意見が強い。
ただその場合、従来は対象だった日本人が医療保険のサービスを受けられなくなる可能性もある。このため自民党内には、外国人労働者の家族のみ制限を設けるべきだとの声もあり、線引きをめぐり今後議論となりそうだ。
(2018/11/07 11:00 時事通信社)