改造内閣:「選挙まで」「結局おじさん」有識者ら不満も

2日に発足した第4次安倍改造内閣。先月の自民党総裁選で支援を受けた各派閥からの新入閣が相次ぎ、論功行賞の色が濃い顔ぶれとなる中、新内閣は国民の期待に応えられるのか。「選挙までの時間稼ぎだ」「結局おじさんだらけ」。有識者らからは疑問や不満の声があがった。
「それぞれのポジションで腕を磨いてきた実務型の人材を結集した。『全員野球内閣』だ」。安倍晋三首相は2日夕に首相官邸で開いた記者会見で、内閣改造の狙いをこう説明した。
自信をのぞかせる首相の姿に「前回の改造では『仕事人内閣』と名付けておきながら、安倍内閣として過去最多の12人を初入閣させるのは矛盾していないか」と首をかしげるのは、時事問題について積極的に発信する時事芸人のプチ鹿島さん(48)だ。
「初入閣が多いのに、顔ぶれにフレッシュさはあまり感じられない。攻めの姿勢をアピールしつつも、内実は派閥の意向を受け入れた布陣でボールを回しているだけ。来年夏の参院選までの時間稼ぎにしか見えない」と話し、「パス回し内閣」と評した。
経済ジャーナリストの荻原博子さん(64)が名付けたのは「庶民感覚置き去り内閣」。荻原さんは「『女性活躍』や『仕事人』を経て、結局派閥均衡型に戻った印象。今後、増税社会保険料の引き上げなど暮らしへの影響が大きい施策が目白押しなのに、顔ぶれからはその分野のスペシャリストという起用に感じられない」とし、「むしろ、首相に従う議員をそろえて選挙対策や悲願の憲法改正を意識した布陣にしか見えず、国民目線が足りない」と注文をつけた。
改造では、総裁選で石破茂元幹事長を支持した斎藤健農相は交代したが、石破派からは山下貴司氏が法相に就任した。一方、自民党役員人事では、総裁選で首相陣営の事務総長を務めた盟友の甘利明氏を選対委員長に起用した。女性閣僚は2人から1人に減り、片山さつき氏だけに。麻生太郎副総理兼財務相らは留任した。
企業の人材育成に取り組むFeelWorks社長、前川孝雄さん(52)は「結局おじさん内閣」と命名した。「女性をはじめ、多様な人材の活用という観点から見ると、今回の布陣はほど遠く、おじさん中心の組織の作り方だ」と指摘。その上で「金銭授受疑惑があった甘利氏の起用も、ほとぼりが冷めたという政界認識と、市民意識にギャップを感じる。内向きの気遣いが優先されていては改革は進まない」と話した。 (2018/10/02 21:13 毎日新聞)