ベールを脱いだ日本のフリーメーソンたち(4)

これも、私の個人的な意見なんですが、神というのは無限の存在です。そして人間には限界があります。有限な存在が、無限の神について判断することはできません。ですから、無限な存在である、あの神、その神、この神のどれが正しいということを、有限な存在である「私」が判断しようとすることは傲慢であり、実際、不可能なんですね。フリーメーソンリーのロッジの中では宗教とか政治の話をすることは、一切禁止されており、常に周囲との調和を大事にするように求められます。その一方で、ありとあらゆる宗教の信者、そして、色々な政治的理念を受け入れてきたのです。様々な思想やシンボルがフリーメーソンリーの中に保存されているのは、そうした寛容の精神がもたらしたものではないでしょうか。

メーソンリーには、様々な文化、多様な教えが取り込まれています。メーソンリーの思想は、四角四面の窮屈な教義ではない。もっと豊かで多様なものを包摂しています。それはどんな文化にも好影響を与えることが可能だと思います。今や地球はとても狭くなった。ワン・ワールドを真剣に目指すべきです。宇宙空間に飛び立って、地球を見おろした経験のある宇宙飛行士の中には、霊感を受けて意識の変容を体験した人が多い。アポロ11号に乗船したオルドリン飛行士 などがその代表ですが、彼もメーソンです。彼以外にも、メーソンの宇宙飛行士はたくさんいます。彼らは皆同じことを言っている。地球はひとつ、だと一一。

 では、この「アンダーソン憲章」とは、どのようなものなのであろうか?
 これは5ページからなる短いものではあるが、近代フリーメーソンの思想が見事に集約されている。
・理念
 理神論、啓蒙主義、人権、民主主義、近代科学。これらを尊重すること。
 また、結社内で、政治や宗教の議論、話はしないこと。特定のイデオロギーを標榜しないこと。
 人種、民族、階級、宗教などによって、会員を差別しないこと。

 基本的に、「アンダーソン憲章」は、「理神論」の立場を取っている。
 これは、有神論の立場に立ちながらも、神は人格、個性、感情を持たない純理論的な存在と捉えた。また、啓示や奇跡などにも、科学的、合理的な説明を加えようとした。
 また、世界は神が創造したと考えるが、創造後の世界は、決まった法則や秩序に基ずいて動いている「自動機械」と考え、神の干渉(例えば奇跡)はあり得ないと考えた。