野望の王国 漫画(2)

野望の王国とは?原作雁屋哲・作画由起賢二の劇画。
東大法学部で政治学を学んだ秀才二人組が暴力で日本を制覇するという野望の為に血を血で洗うピカレスクロマン。台詞の端々から雁屋氏特有の『容易く煽動される民衆』に対する軽蔑と憤りが感じられる。

奇抜極まりない登場人物達とそれを描く劇画にしてもあまりにも濃い由起賢二の作画、そしてバイオレンスにも程がある暴力描写から、カルト的な人気を獲得。

登場人物・橘征五郎
主人公その1、ヤクザの妾その2の息子。明晰な頭脳と身体能力、そして行動力を持つが周りが濃すぎるため地味。
・片岡仁
主人公その2、能力はやはり明晰な頭脳と身体能力、行動力を持つが、征五郎よりも冷静、やはり地味。
・橘征二郎
征五郎の最大の敵であると同時に、腹違いながらも最愛の兄である。こちらも妾腹。
明晰な頭脳と強大な力、深い懐を持つ良き父であり兄であるのだが、やはりヤクザの組長なので故あらば冷酷で残忍な行動も厭わない。
征五郎の野望に気づきつつも、愛故に見て見ぬふりをする。
ちなみに29歳だが貫禄がありすぎるため、年上の柿崎をヒヨッコ或いは若造呼ばわりする。
・柿崎憲
日本最大の暴力機関である警察の力をもって日本を制覇しようとする、裏の主人公と言うべき存在。愛称はカッキー。
高い知能と異常な身体能力、プロのライセンス持ちを凌駕するドライビングテクニック、そして奇行が多く何より不屈の精神力を持つ、単体での戦闘能力は最強。
征二郎が最大の敵ならばカッキーは最凶の敵である。

当初持っていた「キャリア・警察署長」という肩書きは、全編を通して考えると
柿崎にとってはオマケ程度のものでしかありません。
「自身の野望に反する存在」への憎悪、非道さは征五郎の比ではなく、単独の戦闘力と生命力、裏人脈、知力も征二郎・赤寺コンビに匹敵するケタ外れぶり。

最後の最後まで、みなぎる殺意を隠さず、征二郎に致命の一撃を叩きこみながらも全身に銃弾をブチこまれてついに散った魔人・柿崎。
「きさまを地獄にひきずりこんでやるっ…
   …… 暗い … 空が真暗だ……… 」
最期まで往生際の悪い、執念深い男でした。
だからこそ恐ろしく、憧れる。

野望の王国 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E6%9C%9B%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%9B%BD