ふるさと納税、自治体の6割が収支悪化 一部に寄付集中

ふるさと納税による自治体ごとの昨年度の「収支」が、全国の自治体の約6割で前年度より悪化したことが朝日新聞の調べでわかった。大都市から地方への税収移転を狙った制度だが、返礼品競争の過熱で特定の自治体に寄付が集中。地方の町村でも、住民がよそへ寄付することによる税収流出に苦しんでいる。
総務省が公表する自治体ごとの(1)寄付受け入れ額(2)返礼品などの経費(3)住民の寄付に伴う税控除額のデータをもとに、(1)を収入、(2)と(3)を支出とみなして2016、17年度の収支を計算した(ただし(3)は暦年の値)。
市町村と東京23区の計1741自治体のうち、赤字が拡大または黒字が縮小したのは58・3%(1015自治体)。町村に限っても49・8%が悪化していた。
背景には、豪華な返礼品で寄付を集める「勝ち組」の存在がある。寄付受け入れ額の上位50自治体に全国の総額(17年度3653億円)の約4割が集中する。
総務省が15年度に寄付額の上限を約2倍に拡充し、寄付の手続きも簡略化したこともあり、寄付総額は最近5年間で35倍に急増。17年の寄付に関わる住民税控除の総額は2448億円で、前年より665億円も増えた。「勝ち組」に寄付が集中したまま税収流出の規模が拡大した結果、多くの自治体で収支が悪化した。
(2018/12/28 10:57 朝日新聞デジタル)