自民・岸田氏「ポスト安倍」へ全国行脚=地方政調会を開始

自民党岸田文雄政調会長が「ポスト安倍」をにらみ、活動を活発化させている。2日には自ら全国各地を行脚する「地方政調会」をスタートさせ、第1弾として熊本県を訪問。世代交代の波も押し寄せる中、存在感を高めたい考えだ。
岸田氏は熊本市内で、大西一史市長や党県連幹部と意見交換。熊本地震で被災した熊本城の修復作業の進捗(しんちょく)状況なども視察した。
この後、記者団の取材に応じた岸田氏は「地方に足を運び、地方の声をしっかり聴き、政策や選挙公約に反映させる」と語り、来年の統一地方選参院選の公約づくりに生かす考えを示した。年明け以降は月2、3回のペースで開催する予定で、次回は徳島県の方向だ。
岸田氏が地方政調会に力を入れるのは、次の党総裁選に向け、自らの発信力不足が「弱点」と自覚しているからだ。岸田派の若手も「発信が少ないから知名度が上がらない」と指摘する。
次の総裁選には、岸田氏より若く、発信力に定評のある河野太郎外相や小泉進次郎衆院議員の出馬も取り沙汰される。今のうちから地方行脚を重ねて政策を発信し、「ライバル」が世代交代を迫ってきたときに備える狙いがありそうだ。
先の総裁選で石破茂元幹事長は約45%の地方票を獲得した。次期総裁選でも地方票の行方は勝負を左右するとみられる。地方政調会を主導することで、党地方組織との関係強化を進めたいとの思惑も透ける。
「『将来の首相候補』の世論調査で支持率を何とか2桁にしたい」。派内ではこう気をもむ声も漏れる。自ら旗振り役を務める政調改革で結果を出すことなどと合わせ、存在感を高められるかが、今後の試金石となりそうだ。
(2018/12/03 08:00 時事通信社)