加計理事長:虚偽説明は「勇み足」 証拠示さず疑惑否定

加計孝太郎氏、学部のある愛媛県今治市で記者会見
学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題で、学園の加計孝太郎理事長は7日、学部のある愛媛県今治市で記者会見し、愛媛県作成文書に記載された2015年2月の安倍晋三首相との面会など一連の疑惑を改めて否定した。だが、説明を裏付ける根拠となる記録は公表せず、県側に「首相と加計氏が面会した」と伝えていた学園事務局長は会見に出席しなかった。
愛媛県作成の文書には15年2月25日、安倍首相が加計氏と面会し、「新しい獣医大学の考えはいいね」と語ったと記されている。加計氏は会見でこの記載について「事務局長が(獣医学部計画を)前に進めようという思いで勇み足をした。県や市に誤解を招くことをした」と述べ、虚偽の説明だったと改めて陳謝。一方、面会については、出張記録に記載がないことなどを理由に「記録にも記憶にもない」と従来の説明を繰り返した。説明を裏付ける記録の提示を求められると「面会に行っていないので出しようがない」とした。
また、文書で指摘された時期以外でも、首相と獣医学部新設について話をしたかを問われたが「首相と仕事の話はしないというスタンスだ」と否定した。愛媛県作成の文書については「聞いているが、見てはいない」と述べた。
安倍首相は昨年7月の衆院予算委員会で、学園の獣医学部新設の計画を知った時期について「(17年1月20日の)国家戦略特区諮問会議で知るに至った」と答弁している。加計氏も首相答弁に沿った説明に終始した。
また、15年4月2日、学園事務局長が県職員らを伴い首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会したことについては「細かい報告は受けていなかった」と自身は関与していなかったと説明。会見に同席した学園幹部も、柳瀬氏との面会に至った目的や経緯について「当時の事務局の人間ではないので分からない」と答えるなど、あいまいな説明も目立った。
問題を巡っては、加計氏が大阪北部地震翌日の今年6月19日、学園本部のある岡山市で記者会見したが、30分未満で打ち切ったことなどが問題となり、愛媛県中村時広知事が加計氏に改めて会見することを要請。県議会も、対外的な説明責任を果たすよう求める決議を全会一致で可決していた。【杉本修作、花澤葵】
(2018/10/07 21:33 毎日新聞)