オウム松本死刑囚の刑執行

オウム真理教による一連の事件で死刑が確定した元代表松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(63)と元幹部死刑囚6人の刑が6日執行された。法務省が同日明らかにした。事件では13人の死刑が確定していたが、執行は初。空前の無差別テロで社会を震撼(しんかん)させた地下鉄サリン事件から23年。死者29人、負傷者6000人超を出した一連の事件は、大きな区切りを迎えた。松本死刑囚は、地下鉄サリン事件を起こした1995年に逮捕された。一審東京地裁は2004年、起訴された全13事件で有罪とし、死刑を言い渡した。二審東京高裁は、弁護人が期限内に控訴趣意書を提出しなかったとして06年に控訴棄却を決定。最高裁も支持し、同年9月に確定した。
地裁の公判で、松本死刑囚は「弟子たちが起こした」などと無罪を主張した。しかし、次第に不規則発言や居眠りを繰り返すようになり、法廷で事件の動機などを詳しく語ることはなかった。
ほかに執行された6人は、早川紀代秀(68)、井上嘉浩(48)、新実智光(54)、土谷正実(53)、中川智正(55)、遠藤誠一(58)各死刑囚。松本、土谷、遠藤死刑囚は東京拘置所で、井上、新実死刑囚は大阪、中川死刑囚は広島、早川死刑囚は福岡の各拘置所で執行された。
1日に執行した人数としては、同省が執行の事実を公表し始めた1998年11月以降、最多。拘置所に収容中の確定死刑囚は116人になった。
公安調査庁は6日、全国の後継団体施設に一斉立ち入り、警察当局も関連施設などの警戒態勢を強化した。
確定判決などによると、松本死刑囚は元幹部らと共謀し、89年11月に坂本堤弁護士一家3人を殺害。94年6月、長野県松本市でサリンを噴霧し、95年3月には営団地下鉄(当時)車内でサリンを散布した。松本サリン事件では住民8人が、地下鉄サリンでは乗客と駅員13人が犠牲になった。
(2018/07/06 09:00 時事通信社)