オウム事件:07年に刑執行「上申」 法務省

法務省は6日、オウム真理教元代表松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚ら教団元幹部の死刑執行に関する文書を、毎日新聞の情報公開請求に基づき開示した。大半が黒塗りだったが、いずれも刑確定から半年以内に高検検事長が法相に執行命令を求める「上申」が出されていた。
刑事訴訟法は、死刑執行は判決確定から6カ月以内に命令しなければならないと定めるが、共犯者の判決確定までの期間は算入しないとされている。そのため、実際には上申を受けてすぐに松本元死刑囚らの刑が執行されることはなかった。
開示されたのは、元死刑囚13人のうち7月6日に執行された松本元死刑囚らの文書。(1)法相のサインと同省幹部6人の押印がある死刑事件審査結果(執行相当)(2)死刑執行命令書(3)受領書(4)死刑執行報告書−−などだった。(1)と(2)は7月3日付。早川紀代秀元死刑囚については死亡時刻や死因が記載されている「死亡帳」「死亡診断書」が開示されたが、氏名や執行日以外は大部分が黒塗りだった。
高検検事長が法相に宛てた(4)によると、大半は刑確定から数カ月程度で「上申」が出されていた。松本元死刑囚の場合は2006年9月15日の確定から半年後の07年3月13日だった。
一方、遠藤誠一元死刑囚は11年12月13日の確定から2週間後の同26日に上申されていた。オウム事件の刑事裁判は遠藤元死刑囚の刑確定後、同年12月31日に平田信受刑者が警視庁に出頭するまで終結した状態で、同省は終結を受けて執行に向けた検討に入ろうとしたとされる。【和田武士】
(2018/09/07 02:32 毎日新聞)